2016年12月20日

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日本のイマドキ大学生の奨学金事情

亀井もも(大学生)


突然ですがみなさんは、学生たち特有の悩みは何かと聞かれたらどんなことを思いつきますか?勉強、部活・サークル、恋愛・友人関係など学校生活における悩みから、インターンや就活といったように将来のことで思い悩む学生も多そうですね。今回は、現在多くの学生が抱えている問題であり、近年社会的にも議論されている奨学金問題について考えてみたいと思います。日本の奨学金制度にはどのような問題があり、奨学金を借りている学生たちはどのような壁とぶつかっているのでしょうか。

 

まず、奨学金をめぐるわたしの話を聞いてください。わたしは、高校・大学と奨学金を借りながら学生生活を送ってきました。高校卒業と同時に実家を離れたあとは、親からの仕送りと奨学金、アルバイトで稼いだお金でやりくりしながら過ごしてきました。大学4年生になって卒業後の進路を考える時、さらなる奨学金を必要とする大学院への進学は、諦めようと思っていました。悩んだ末に大学院を受験し、合格しましたが、応募した給付型の奨学金を受給できるかどうかは分かりません。もし募集に落ちてしまった場合、再び貸与型の奨学金を借りなければいけません。貸与型の奨学金は返済が義務となっており、借りたお金はすべて返さなくてはなりません。将来のことを考えると、就職先は自分のやりたいことより返済を優先して決めなくてはならないのではないか、結婚して子どもを生み育てることはできるのかと、不安な気持ちになります。

 

でも、これってわたしだけの問題なのでしょうか?日本の奨学金制度が問題視されている理由を見ながら、考えてみましょう。

 

そもそも、奨学金には給付型と貸与型の2種類があります。奨学金という言葉は英語でscholarship(s)という単語になりますが、これは一般的に給付型の奨学金のことを指しています。しかし、日本の奨学金制度の多くは貸与型となっており、貸与期間が満了すると借りたお金を返済しなくてはなりません。事実、OECDの統計[a]では、日本で奨学金と呼ばれるものはStudent loansとされており、scholarship(s)とは明確に区別されています。

現在、大学生のうち半数近くがこの奨学金を借りています。給付型の奨学金がないために希望する学校へ進学することができない人や、卒業後の返済に不安を抱き、奨学金を借りることすら諦めざるを得ない人がいます。また、貸与型の奨学金の強いる負担は、卒業後の将来にも連鎖していきます。奨学金を得て学校に通うことができたとしても、返済があるために就職先を自由に選択することができなかったり、就職することができたとしても、毎月の返済に苦労する生活を送らなければならない人がいるのです。

 

卒業したら働いて返せばいいと思う人もいるかもしれません。しかし現在は、就活すれば確実に就職できる、就職すれば長年の雇用が保障されるという時代ではありません。返済に不安があるなら大学に行かなければいいという声もありますが、今の時代が大学に入らないと就職もままならない大学全入時代であるという事情もあります。何より、国が教育費を担わないのであれば、当然、教育費は個人が負担することになります。奨学金を借りられないのなら大学に行かないという選択を強いるということは、生まれもった人生の条件両親の所得などから自由になれないということです。

果たして、日本の将来を担うはずの若者が、こうした教育過程における障害のために活力を失ってしまうことは日本のためになるのでしょうか。奨学金のありかたを見直すことは、日本における教育の意義を見直すことに直結します。教育に掛かる費用は、税金などを経由して国や社会が担うべきなのか、それとも、個人の自己責任として帰結してしまうものなのか。学びたいと思う若者を助けるためにあるはずの奨学金が、将来の日本を担う若者のとして立ちふさがっているのなら、これほど皮肉なこともないのではないでしょうか。

 

 

 

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