2016年11月5日

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TPP 衆議院採決は早すぎる

竹内彰志(ReDEMOS / 弁護士)


ポイント
  • 日本の国会で衆議院と参議院があるのは、議論を途中で参議院に投げるためではなく、ダブルチェックのためなので、衆議院で議論が残っているのであれば引き続き衆議院で議論を尽くすべき。
  • 外国の投資家が日本の政府や自治体を訴えることができるISD条項については、2016年10月31日にようやく論点提示がなされたばかり。
  • ISD条項への対応は、都道府県や市町村には、現状ではできないと言わざるを得ず、日本の税金が海外の民間企業に流れる危険があり、TPPが日本で暮らす人に意味があるか、審議を続けて議論すべき。

 

TPPについて、2016年臨時国会で11月4日に衆議院採決がなされるとの報道があります。日本の国会は衆議院と参議院の2つがあり、ダブルチェック機能をもっているはずなので、衆議院で議論が残っているのであれば引き続き衆議院で議論を尽くすべきです。

特に、2016年10月31日の衆議院TPP特別委員会でようやく明らかになった、外国の投資家が日本の政府や県、市を訴えることができるISD条項という制度については、全く議論がなされていません。これまでの政府答弁は、日本政府が訴えられることはないというものです。TPPで日本政府を訴えることができる制度を用意しておいて、訴えられる側の日本政府が訴えられることはないと自らいうのは、理屈として成り立ちません。

ISD条項で訴えるにはハードルが高いから日本は訴えられないという意味の説明を日本政府はします。しかし、ハードルがあるということはハードルを超えたら訴えられるわけです。ISD条項に基づく訴えは、日本の裁判所ではなく海外の仲裁機関になります。つまり裁くのは日本の裁判官ではありません。

また、訴えはTPP条約に基づいて行われます。TPP条約は、英語、スペイン語、フランス語で書かれています。日本語は仮訳としての意味しか持ちません。条文の解釈が外国語でなされるわけです。解釈指針となる条文の作成過程も明らかにされません。日本の市区町村、都道府県はキチンと対応できるでしょうか。率直に言って、今のままでは訴えられてはじめて慌てるという後手になるでしょう。

負ければ日本の税金が海外の民間企業に流れていきます。

どうか日本の国会議員は議論を尽くしてください。

 


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