2017年1月15日

トランプ大統領を考える_アイキャッチ画像_3

ReDEMOS LIVE Vol.4

トランプ大統領を考える
ポピュリズムっていいもの?悪いもの?


2017年1月29日 (日)
OPEN 17:30 / START 18:00
LOFT 9 Shibuya
東京都渋谷区円山町 1-5 http://www.loft-prj.co.jp/loft9/

2016年アメリカ大統領選では、大方の予想を裏切りドナルド・トランプが勝利しました。レイシズムやミソジニーにかんする過激な発言が相次ぎ、政策面でも実現可能性を多く疑われた人物が勝利したことの意味を、どのように捉えればいいのでしょうか?

中間層の反乱とか、いや文化的な争点が大事だとか、トランプの勝因についてはいろいろ言われています。一方ヒラリーは負けたけれど、総得票数はトランプを上回っていたり、実は歴代の白人男性大統領より多く集めていたり・・・。

今回はアメリカ大統領選について、近年しばしば指摘されているポピュリズムを意識して考えます。これって、本当に対岸の火事?

 

今回のイベントを振り返って

 

本イベントでは、まずイントロダクションで前回イベントのテーマである若者の貧困を見つめ直しつつ、トランプ勝利の背景構造として日本は決して他人事ではないということを話しました。その上で第一部では北海道大学教授の吉田徹先生よりポピュリズムに関する基礎的な議論を提示していただいたうえで、第二部で新外交イニシアティブの猿田佐世さん、そして市民連合より芝田万奈さんにもご登壇いただき、日本とトランプ以後のアメリカとのつながり方を意識しつつ、今後のリベラルの課題について議論いたしました。

 

ReDEMOSはこれまでのイベントで、TPPを通じ日米外交の今後を思考し、女性の権利を脅かす社会を見つめ、若者の貧困を自己責任へとすり替える政治を学んできました。日本は中間層の疲弊は隠せず、立憲主義自由主義を否定され、女性やマイノリティの人権は十分でなく、自己責任論が蔓延しています。日本は、格差拡大にともなう中間層の疲弊を背景とし、アメリカ社会の拭えない差別を煽るトランプ大統領を、決して他人事とは言えない立場にあります。また、ポピュリズムについて考えるということは、現代という時代において民主主義を考えるということでもあります。その危険性と可能性を見極めつつ、上手に付き合っていき、また民主主義を傷つけた問題があるのであれば、それを少しずつ修復していく必要があります。

 

あらゆる政策イシューについて、良くも悪くもトランプ大統領の誕生により、今後我々がどうしたいのかといった問いが必要になってきます。そのうえで政治勢力としてのリベラルが、何を、誰に、どのように訴えていくかが、今後、チャレンジングな課題として残るでしょう。加えて、そうした政治対抗としてのリベラルの再建とともに、新自由主義的な政治によって解体を余儀なくされている民主的な政治空間をいかに立ち上げるかといったことがあります。政治と協働しつつも、しかし女性、他人種をはじめとしたマイノリティを、そしてこの社会の様々な声を攻撃するトランプ的なものに抗する究極的な原理は、私たち自身のつながりを土台とした支え合いです。このとき、市民の政治はこの間に力を着実に蓄積しており、この点において日本が他の先進国における理想や理念を擁護するグローバルな市民の政治に遅れをとっているわけでは決してありません。

 

 

次回、ReDEMOSはLGBTQ+をテーマにイベントを行います。トランプ大統領就任直後にLGBTに関する項目がホワイトハウスのホームから消えたことからもうかがえるように、男/女という二分法にとらわれたものの見方に収まることのない人たちの権利は、当然のごとく忘却されます。トランプ的なものは、社会の多様性を否定し、そのことによって、この社会に生きる私たちみんなの権利を脅かすものなのです。LGBTQの視点に学ぶということは、この社会が当然ながら多様性の上にあるにもかかわらず、そのことをなかったことにするトランプ的な政治に、いかにして対抗するかを考えるということでもあり、かつトランプ以後の世界の理念・理想を構想するということでもあります。そのような意味で、今回のイベントとと大いにつながっています。

 

そして現実の問題として、LGBTQ+の権利がこんなにも損なわれているこの社会にあって、私たちはこの問題に真剣に取り組まなければなりません。次回では、LGBTQ+を取り囲む制度や社会の風潮、またAllyアライ・味方という立場のような支え合いのかたちがいかにして可能なのかについて考えます。次回も、どうぞよろしくお願いします。

トランプ大統領を考える

ポピュリズムっていいもの?悪いもの?

[登壇者]
吉田徹 北海道大学教授・政治学
猿田佐世 新外交イニシアティブ事務局長・弁護士
芝田万奈 市民連合・大学生
塩田潤 ReDEMOS・神戸大学大学院博士課程
日時:1月29日日曜日
会場:渋谷 LOFT9
場所:東京都渋谷区円山町 1-5 KINOHAUS(キノハウス) 1F
時間:Open 17:30 / Start 18:00
料金:一般予約 1300円、 一般当日 ¥1500、 学生無料
※ 別途ドリンク代 (¥500〜)
http://www.loft-prj.co.jp/schedule/loft9/56342

 

[タイムテーブル]

 

18:00 イントロダクション

塩田潤 ReDEMOS・神戸大学大学院博士課程

 

 

18:30 第1部 講演
ポピュリズム化する世界のなぜ
吉田徹 北海道大学教授・政治学

 

 

19:30 第2部 トークセッション
トランプランドは対岸の火事?

吉田徹 北海道大学教授・政治学
猿田佐世 新外交イニシアティブ事務局長・弁護士
芝田万奈 市民連合・大学生

司会: 塩田潤

 

 

20:30 第3部 / まとめ、次回予告

 

 

20:45 END

 

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